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2005.11.21

韓国ドラマ史に残る骨太超大作!『許浚(ホジュン)』

お疲れ様です。Reikoです。

トレキャ!ドラマ番付(05.11.22号)に掲載予定の連載コラム
「海外テレビ(ドラマ)事情(13)『許浚(ホジュン)』<韓国編>」へのライター追記です。
(コラム本編は明日夜配信の上記メルマガでお読みいただけます。)

日本より一足早く韓流ブームが始まったせいか、
マレーシアでの韓国ドラマ・ラッシュは
一服した感がある。
ま、ブームに乗って、あまりにも多くのドラマが
垂れ流しされたせいもあるだろう。

そうでなくとも「韓国ドラマは、

出生の秘密、孤児院、不治の病、
主人公に異常なまでの敵意を持つライバル-の
どれかが必ずと言っていいほど出てきて、
もうゲンナリ…」
そう思っていた私が
この『許浚』だけは観てみようと思ったのは、
ひとえに「実在の医師の生涯を描いた歴史ドラマ」
だったから。
ただし、原作自体が史実を基に「大胆にフィクションを
取り入れている」(原作本「許浚」日本語訳者の弁)上、
ドラマでは、原作にはない登場人物が重要な役割を
果たしたり、細部の展開が原作と違っていたりする。
だから「こんなすごい話、一体どこまでが本当に
あったことなんだろう?」という私の疑問に
答えてくれる人はいそうもない。
でも、そんなドラマチックなストーリーを
現実感たっぷりでいながら手に汗握るドラマに
仕上げたのは、文句なしにすごいと思う。
以下、そんな作品作りの重要な成功要因を
私なりに考えてみた。

◇キャスト
コラム本文にも書いたが、大河ドラマ
(しかも開局記念特別企画)の主役とその妻の配役を
これだけ大胆に決断できたことが、信じられない。
日本ではまずありえないだろうから。

許浚役のチョン・グァンヨル(グァンヨル)
「普通のおじさん」、「地味で華がない」なんて
声もあったが、この人には
内医院の医員採用試験に
急がなければならないにもかかわらず、
次から次へとやってくる貧しい村の病人達を
見捨てておけない、誠実で心優しい許浚役が
まさにぴったりだった。
いわゆる今風のイケメンの部類には入らないかも
しれないが、絶対男前だと思う。
個人的な感想だが、亡父の若い頃に似てるんだな。
特に、青年時代を演じるため、
体重をかなり絞り込んだと思われる時の顔なんか、
そっくり。

医女イェジン役のファン・スジョン
原作にはないイェジン役で、許浚に対する気高い愛を
見事演じ切り、その年の「MBC放送大賞」では、
俳優部門の最優秀賞をチャン・グァンニョル
(グァンヨル)と最後まで争ったファン・スジョン
(結果はやはり主役に軍配が上がったが)。
若い頃の萬田久子似の彼女の笑顔に毎回どれだけ
癒されたことか?彼女が登場する度に
「きれいだね~」と溜息まじりにつぶやく私に
長男も次男もうなづく。
我が家では毎日、そんなことを繰り返していた。
ところが彼女、麻薬事件を起こして4年間も
謹慎中なのだ。だが、アジア各国で『許浚』が
放映され、ドラマや映画への出演依頼が海外からも
殺到しているらしいので、その姿が見られる日も
それほど遠くないかもしれない。

柳義泰役のイ・スンジェ
眼鏡がなくてもすぐわかったのが、この人。
厳しいが、主人公を理解してくれる
大会社社長の役などでおなじみの
ベテラン、イ・スンジェ。
許浚の師、柳義泰を主人公にした別のドラマでも、
この役を演じているそうで、これも、
他の医者が行かない被差別部落にまで往診に出かけ、
患者の膿を口で吸って治療に当たったりする一方で、
偏屈なところのある柳義泰役がぴったり。

多喜役のホン・チュンミン
発覚すれば罪に問われることを承知で
高貴な身分を捨て、許浚と結婚した多喜。
夫に医の道を歩ませるため、どんな困窮や屈辱にも
負けず、愚痴ひとつこぼすことなく苦労を重ねた
菩薩のような嫁。
元ミス韓国だけに、ちょっと背が高過ぎるかなと
思うこともあったが、これまた役柄のイメージに
よく合っていたと思う。細面の清楚な美人の彼女が
極貧の生活で、頬や唇から血の気が失せ、
つぎが当たり襟も垢じみたチョゴリを着ている姿など
本当に不憫で、思わず「がんばって!」と
応援せずにはいられなかった。
余談だが、北京語の吹き替えで許浚と多喜が
相手を呼び合う「夫人」「夫君」の響きが
なんだかすごくいい感じで、
夫を「夫君」て呼んでみようか
などとバカなことを考えていた私(笑)。

光海君(皇帝、宣祖の第二王子で後に即位)役?
若手だが、これまたいわゆるイケメンとは
ちょっと違うタイプかもしれない。しかし長身で、
謙虚にふるまっていても滲み出る威厳と気品は素晴らしい!
若き王族役を演じるなら、かくあるべし。
一時は帝の寵愛を一身に集めた妃、恭嬪を母に持つが、
彼女が病に倒れ、悲しい最期を遂げてからは、
父からも顧みられず、実兄とともに
寂しい少年時代を送った光海君。
許浚を唯一の相談相手として、また代理父として慕う
光海君の憂いを秘めた表情も繊細に演じていて秀逸だった。

◇音楽
けっこうベタなシーンを音楽でぐゎ~と盛り上げることの
多い韓国ドラマ。
その手法がちょっとあざとくて、苦手だったのだが、
見方を変えれば、韓国の音楽家の力量恐るべし、ということ。

『許浚』のテーマは、「謡い」のようなボーカルに
「ドン、ド、ド、ドン」という力強い太鼓が続き、
そこから一気に大河ドラマにふさわしい壮大な印象を受ける
メロディが続いていく、非常にインパクトの強いもので、
ドラマ同様、クセになる感じ。

◇舞台
日本の大河ドラマの中には、
いかにも「作りました」という感じの真新しいセットが
出てきたりするが、『許浚』のセットは地味で、それが
逆にリアルでよかったと思う。
ただ、前半に許浚一家が身を寄せる集落が
ユネスコ村(って今もあるの?)の一角に
見えてしかたなかったけど(笑)。

◇メーク
特筆すべきはメーク陣の手腕。医者の話なので、病人が
次から次へと出てくるが、これが本当にそれっぽい。
あと、師に勘当された許浚が失意と怒りで一時酒浸りに
なるんだけど、この時のメークも
「許浚、本当にアル中にされちゃったんじゃないか?」
と思うほどリアルだった。
メークさんも必見のドラマでアルよ(笑)。
 
 

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