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2008.03.22

第80回アカデミー賞授賞式鑑賞レポート(後編)

「三大スタイルはマーメイド、トーガ、エンパイア」           
                                 TEXT BY Reiko

今年のアカデミー賞授賞式で目を引いたのが赤いドレス。米国のティーンージ
ャーに絶大な人気を誇るというマイリー・サイラスの若さ溢れる真紅から、役
を演じていなくても「女王」の気品と貫禄が滲み出るへレン・ミレンのワイン
レッドまで、世代も体型も異なる女優達が様々な赤を着こなしていた。中でも
ドラマチックという点でダントツだったのが、スーパーモデル(今や、猫も杓
子もこう呼ばれるようだが、本来は、この人くらいの世界的知名度や存在感を
持つモデルを言うのではないか)、ハイジ・クラムの着たジョン・ガリアーノ
の真紅のドレス。これは、授賞式後、心臓疾患を持つ女性を支援するためのチ
ャリティ・オークションに寄付されるという点でも話題を集めた。また、『プ
ラダを着た悪魔』のアン・ハサウェイは、今年主流を占めたトーガ(古代ロー
マの外衣)風のワンショルダー、その肩から胸元までを飾るバラ、流れるよう
なドレープ- - -の全てが美しく調和した深紅のドレスで、脚光を浴びていた。

一方、「今年はノミネートされておらず、プレゼンターを務めるだけだから」
という理由かどうかは知らないが、黒を選んだ女優も多かった。黒いドレスで
一番華があり、バランスがいいと思ったのはヒラリー・スワンクの着たヴェル
サーチのワンショルダー。今年は、ワンショルダーとビスチェ風の肩やデコル
テを露出したドレスが本当に多かったが、ワンショルダーは、肩のラインがシ
ャープで首が長くないと美しく見えない。トーガが流行中といっても、古代ロ
ーマ人そのままの一枚布をまとったようなものは、着こなしが難しい。ワンシ
ョルダーのドレスを美しく見せるには、上に挙げた身体条件に加え、肩を覆う
部分が狭く、デコルテを斜めに分割するラインが潔く、急角度でないとダメな
のだ。その点、スワンクのドレスは、肌見せのバランスといい、シフォンや光
沢のある花モチーフを使った軽さや華やかさといい、最高だった。

ハイウエストというかバスト下から緩やかに広がるという点で、トーガとかぶ
る点もあるのがエンパイア・ドレス。このシルエットが目立ったのは、ケイト
・ブランシェット、ニコール・キッドマン、ジェシカ・アルバなど妊娠中の女
優が多かったせいもある。式には姿を現さなかったが、アンジェリーナ・ジョ
リー、ハル・ベリー、ジェニファー・ロペスも身重ということで、これだけ名
の知れた女優が揃って「おめでた」の年もめずらしい。

そして今年、インパクトの強かったドレスといえば、『エディット・ピアフ~
愛の賛歌』で、本国フランス、英国、アカデミーと最優秀主演女優賞三冠の快
挙を達成したマリオン・コティヤールのマーメイド・ドレス。これ、マーメイ
ド・ラインと呼ばれるシルエットだけでなく、白地に銀糸でびっしりと鱗の模
様が入っていて、「白い鯉のぼり」(笑)に見えないこともないが、コティヤ
ールのスリムな体型と、シルバーの目元、赤い口紅というメークには合ってい
たかも。でも、このシルエットなら、エイドリアンヌ・フランツの着たベージ
ュのチュールにスワロフスキーをふんだんに散りばめたドレスの方が一般受け
するような気がした(すんごく重そうだけど...)。

赤と黒が主流だった今年、すごくおいしそうなオレンジジュース色を着たケリ
ー・プレストン(ジョン・トラボルタ夫人)、深みと明度が絶妙なグリーンを
選んだシアーシャ・ローナン(『つぐない』で助演女優賞にノミネート)に好
感を持った。だが、私が今年の「最優秀ドレス賞」を選ぶとしたら、それを着
たのは女優ではない。短編ドキュメンタリー賞を受賞した「Freeheld」の監督
/プロデューサー/撮影監督シンシア・ウェイドだ。この品のいい光沢のある
グレーのドレスは、肩のラインから日本で言うところのフレンチ・スリーブ、
すっきりしたカッティングが、長身でアスリート体型のウェイドにぴったりで、
非常に知的かつセクシーであった。

小物について言えば、まず目を引いたのが、スワロフスキーのクラッチ・バッ
グ「一世風靡」状態。それから、女優達の「晴れのいでたち」写真を見比べて
いて、ビスチェ・ドレスをネックレス無しで着たケースが非常に多かったのに
気がついた。ワンショルダーにネックレスが合わないのはわかるが、大きく開
いたデコルテに装飾無しというのは「お約束」だったのだろうか?例外は、ケ
イト・ブランシェットのゴールドに緑の石をあしらった迫力あるエスニック調
首飾り(ネックレスというより、やはり首飾り)と、ジェニファー・ガーナー
のダイヤ(61カラット!)を使ったチョーカー風ネックレスだった。

一方、タキシードが似合うかどうかは多分に着る人のプロポーションに左右さ
れると思うが、同じような黒のスーツに白のシャツでも、なぜかおしゃれに見
えるのが、ジョニー・デップや主演男優賞受賞者ダニエル・デイ=ルイス。今
年は姿を見せなかったようだが、『エリザベス1世~愛と陰謀の王宮~』でヘ
レン・ミレンの愛人役を演じたジェレミー・アイアンズもその1人だ。

余談だが、我が編集長によると「日本では授賞式前から『モンゴル』のことば
かり話題になっていた」ようだが、私は浅野忠信主演ということを全く知らず
「おー、モンゴル人俳優がレッドカーペットを行く...」(笑)とマジで思
っていた。アート系アニメーションの秀作揃いだった短編アニメーション部門
でも、電通テックが製作参加したロシアの巨匠アレクサンドロフ・ペトロフ監
督の『春のめざめ』受賞を逃したが、まるで水彩画が動き出したかのような、
この作品は要チェックだと思った。というわけで、今年のアカデミー賞で1人
勝ちした日本勢と言えば、やはり任天堂のWiiだろう。授賞式を観た方はお分
かりだと思うが、あの宣伝効果は莫大なものだったと思う。

前編「アウトサイダー達が輝いた年」はこちら

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... ティルダ.スウィントン ほか 備 考: PG-12指定 『MONGOL ... [続きを読む]

受信: 2008.03.24 06:42

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