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2009.09.12

映画『イメルダ』監督インタビュー

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イ ┃ン┃タ ┃ビ┃ュ ┃ー┃  『イメルダ』 ラモーナ・ディアス監督
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                                 TEXT by MARS

  フィリピン元大統領の妻、『イメルダ』のドキュメンタリー映画
  日本で公開する監督にインタビュー。    

                 ◆◇◆◇◆ 

『イメルダ』というドキュメンタリー映画が
9月12日から東京・ポレポレ東中野で、
9月26日から大阪・シネヌーヴォで…と、
順次全国で公開されるんだけど、
これに合わせ、ラモーナ・ディアス監督が来阪したので、
インタビューしてきました!

 Photo
 (ラモーナ監督)
 
さて、イメルダって言っても、若い人は「それ、誰?」って感じで
さっぱりわかんないかもねー。
ということで、ちょっとおさらいを。

イメルダは、1965年から1986年までにフィリピン大統領だった
マルコス大統領の妻。

 Imelda

すんごい美貌の持ち主だったので、夫とともに政治の表舞台に立って、
派手な外交を繰り広げたけれど、
夫婦で汚職やら不正やら選挙の買収やら
汚い手を使いまくって独裁政治を通し、私財を貯め込んだために、
最後には民衆蜂起が起こって失脚。
家族でハワイに亡命する結果に。

彼らが住んでたマラカニアン宮殿には、
とんでもない数の豪華なドレスや、
3000足といわれる靴が残されていた映像が報道され、

 Photo_2
 
世界中が、「どんだけ~」と、
その「強欲さ」「贅沢三昧ぶり」に唖然とさせられた。

しかも!
亡命先のハワイの空港の税関でかばんを開けられたとき、
孫のオムツの中にダイヤモンドやお金を隠しまくってたらしい。
今年、80歳になるのだけど、今はフィリピンに住んでいて
へー、まだ元気なんだと驚かされた。
今も150以上の訴訟を抱えているそうな。
 
さて、そんなイメルダを追ったドキュメンタリー。
マイケル・ジャクソンを彷彿とさせる
スター然とした振る舞いや話し方、そして
あっちの世界にいっちゃってるかのような、
独自の精神世界の哲学を披露する。

その哲学を語るために
イメルダは自分の書いた本を丁寧に朗読する。

 Photo_3
 
このシーンについて、監督が笑いながらこう教えてくれた。

 「最初に彼女に撮影の了解を取るのは簡単でした。
 彼女はカメラが大好きだし、話すことも好きなのは知っていたし。
 ところが、冒頭シーンの撮影で、彼女は本を最初から全部読み始めた。
 いくら『一部を読んでほしいだけなので、そうしてください』
 と強く頼んでも、やめてくれなくて、
 仕方なくそのまま8時間ほどカメラを回したのよ」

そして、今も彼女がどれだけ贅沢三昧かを物語る、化粧コンパクト。

 Imelda_2

 「実はこれ、imeldaという名をダイアモンドで張ったオリジナルで、
 しかも彼女はこう言ったの。
 『いつも失くしちゃうから、いくつも持ってるのよ』って」

 
あまりのマイワールドぶりに、もう笑っちゃいます。叶姉妹も真っ青。
イメルダは、政治家の妻であった以上に、女優だったのかも…とも思う。

 「そう、彼女はもともと女優志望だったから
 大統領の妻を演じているうちに、
 元の自分と一体化したのかもしれませんね。
 撮影中も絶えず誰かと一緒で、寝るときでさえ、
 お付きの人に足を揉ませながら眠ってた。
 そういう人生って、どういうことなのか、
 私は興味があったの」

もちろん、イメルダがいかにきれいだったか、
中国の毛沢東やリビアのカダフィ大佐、キューバのカストロなど、
どれほどの要人と外交の調印を行ったかなど、
彼女の功績を称えるかのような記録シーンもあるけど、
ディアス監督は、多くのエピソードや周囲のコメントを通して
「忘れてはいけない歴史」を警告として発しているそうだ。

ちなみに、私が注目したのは、イメルダの服。
年を取ってからも、変わった襟のデザインの色違いのスーツを
たくさん持っている。
昔のドレスも、同じデザインが目立つ。
彼女は自分の気に入ったデザインで色違いを何枚も作らせるようだ。

とくに外交の場で必ず着てた、
バタフライショルダーのロングドレスは、監督に聞くと、

 「あれはフィリピンの正装で、『テルノ』というドレス。
 当時は、もう古臭いからと誰も着なかったのを
 イメルダが復活させて、今でも着ている人がいるほど。
 パイナップルの繊維を使って細かい手刺繍を施しているの」

 Imelda_3

そういう意味では、少しは功労もあったといえるわけで、
やっぱり政治家でなくて女優だったらよかったのかもね。

今もずっと派手なパーティをし続けているそうで、
不正蓄財といわれたお金にしたって
たまたま彼女がきれいだったから、
世界中の要人や政治家がハエのように寄ってきた結果のもので、
たぶんイメルダは、横領したという意識はゼロなんだと思う。

とてもまじめなドキュメンタリーなのに、
笑いがこみ上げてくるあたり、うまいなーと感じる。
そう、これは、よくできたヒューマンコメディといえましょう。
今も私たちが歴史の中の殿様やお姫様の物語を面白いと思うのは、
その生き様が、あまりに浮世離れしてるから。
イメルダもまた、世界を唖然とさせた女帝として、
これからも人の記憶に残り、語り継がれるのかもしれない。

…ところで、
UFOに連れ去られたことがあると発言してる総理夫人は
だいじょーぶでしょうか?


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